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行政拘束され、約1年をイスラエルの刑務所で過ごしたヤセル・マアナさん。「屈辱と暴力にまみれていた」と振り返る=2024年8月30日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ラマラ郊外、河野光汰撮影
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 パレスチナ自治区ヨルダン川西岸にあるイスラエル軍の検問所で、パレスチナ人のヘブライ語翻訳者ヤセル・マアナさん(36)が、身分証の提示を求められたのは昨年5月のことだ。西岸北部から自宅のあるラマラ郊外に車で帰路に就くところだった。

【連載㊥】もう一つの戦争 西岸からの報告

 ガザでの戦闘が始まって、まもなく1年。イスラエルは西岸でも攻勢を強め、占領政策を変化させて住民の生活に大きな影を落としています。国連が「もう一つの戦争」と呼ぶ現場から報告します。

 個人的な政治思想は「反イスラエル」だったが、明確な拘束理由は思い浮かばなかった。理由も告げられずに3日間拘束され、4日目に連れて行かれたのはイスラエル軍の裁判官の前だった。

 「行政拘束を認める。理由は明らかにしない」。裁判官からそう告げられ、数分間の手続きが終わると、そのまま西岸内の刑務所に収容された。

ガザ戦闘から一変した刑務所での生活

 昨年10月7日、イスラム組…

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